ナミダの記憶
――――――――どのくらいたったんだろ。
目を開けると、白い天井が視界いっぱいに広がった。
「―里!愛里!!」
アタシを呼ぶ声が聞こえるほうを見ると、家族と病院の先生がいた。
「愛里!よかった…!!死んだかと思ったんだよっ!」
その反対側には、友達が5.6人ぐらいいた。
そうだ。アタシは広也とニケツをしてて…大型トラックに引かれたんだ…。
―――広也は?
「…ねぇ、広也はどこ?アタシ広也と一緒にいて…広也も引かれたよ?…広也に会わせて?…ねぇ」
ギュッ…
友達がアタシの手を強く握り締め、首を横に振った。
…え?
意味が分からない。
「広也くんは…愛里の彼氏の広也くんは!……死っ…んだっだよ…」
涙を流しながら、途切れ途切れに言うお母さんを見て…
――――死んだ?広也が?さっきまで…一緒にニケツしてた広也が?別の広也って言う人じゃないの?
そんな事をアタシは頭の中で考えていた…。
「…いやだ…嘘だよ…そんなの違う!広也は死なない!!いやだよ!」
アタシは狂ったように泣き叫んだ。
「愛里!落ち着いて!!広也くんは戻ってこないの!即死で…助けようがなかったのよ!!」
アタシは叫ぶのをやめた。
もう広也は戻ってこない…即死で助けようがなかった…
この言葉が頭の中でグルグル回っていた。