【短】ハピネス

サヤの気持ち

『序章』



アタシの向かいの席、愁いを帯びた瞳で、都が窓の外を眺めている。



都が見つめる先には、紅葉して色づきはじめたイチョウ並木と、通りを行き交う人々。



そんな光景が目に映っているのかいないのか…都は何やら思案顔。



たまに思い出したように深呼吸しては、溜め息をついている。



今日の都は、いつもと様子が違う。



口数が少なくて、ボーッとしてるかと思えば、急にソワソワしてみたりして…かなり、変。



完全に心ここにあらず、な感じ。



「ねぇ、ミヤくんどうしたの？」



目の前に手をかざしてみると、ハッとした表情でアタシを見る。



「あぁ、ごめん…。」


都は言って、また深呼吸をして、何か意を決した顔でアタシをまっすぐに見つめる。



都の動作を観察していたアタシは、視線がぶつかって思わず一緒に呼吸を止める。