【短】ハピネス
一人じゃ淋しさと不安に負けそうで眠れない夜。


裕紀との別れの直後は、何もかもどうでも良くて、ただ耐え切れない淋しさだけがあって。



自分の気持ちを見失って、好きでもない人と関係した事もあったけど、いつしか痛みさえ麻痺して…淋しさを消すどころかますます虚しくなるばっかりだった。



こうやって都とじゃれ合って、腕の中で温もりを感じていれば、しっかり安眠できる。



都は代わりなんて言ったけど、誰でもいいわけじゃない。



アタシが今、心を許せてるのは都だから。



いつまでもアタシの胸の内にくすぶり続ける過去の記憶。



都だけはちゃんとアタシと向き合って、抜け殻みたいになってたアタシの痛みごと、全部を受け止めてくれた。



別れの直後に比べたら、今は精神的に安定している。



でも、ココロに残る傷は完治してないのかも。



徐々に面積は減っても、今日みたいに忘れた頃に突然痛み出す。



報われない恋愛にはリセットボタンじゃなくて、勇気を持って電源オフを押すべきだった?



今になって、そう思う。
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