【短】ハピネス
「いってらっしゃ〜い。」



「バイバイサヤ、また明日ね〜。ミヤくんにもヨロシク。」



廊下で日奈子を見送って、手を振る。



…こんなに真剣に心配してくれる日奈子に、一瞬でも見当違いな嫉妬を向けるなんて、我ながらどうかしてる。



でも、日奈子が心配すればするほど、やっと塞がろうとしてる傷口をえぐるのはやめて、って思うもうひとりのアタシもいる。



心がコントロールを失ってるから、 友達にも優しく出来ない。



心配を素直に受け止められなくて、生まれる嫉妬も反感もただの八つ当たり。



それが分かってるから、絶対、口には出さないけど。



皆に心配されてるのに、アタシは、自分の事ばっかりで。



心の余裕の無さに気付いて、嫌になる。
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