【短】ハピネス

ユキの想い

アタシと都のやりとりを黙ってじっと見守っていた裕紀が、都の後ろ姿が小さくなって、見えなくなるまで見送って、家に上がる。



玄関先で泣き崩れているアタシを脇に抱えて、立ち上がらせて、部屋の中に押し戻す。



「…ねぇ、ユキは何で来たの?」



考えがまとまらない頭で、浮かんだ疑問。



ちょっと偶然にしてはタイミングが良過ぎる。



別れてから裕紀が家を訪ねてくることはこの半年の間、なかったのに。



「あぁ、さっき都からTELで呼ばれて。サヤのケータイからだったろ?」


そっか、あれは裕紀へのTELだったんだ。



自分に全くメリットないのに、都はアタシの為を思って、こんな役を引き受けてくれたんだね…。


改めて、都の深い愛情に気付いて、涙が溢れる。


まして優しい都は、こうなってもアタシじゃなくて自分を責めてた。
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