【短】ハピネス
どうして、都だけを見て、ちゃんと向き合えなかったんだろう。



都はアタシを真剣に想ってくれてた分、アタシが残した傷はしばらく消えないかもしれない。



自分が辛いからって、都まで巻き添えにして犠牲にした。



過去の記憶を消せなくて、都の無償の優しさを踏みにじる結果になっちゃったな…。



「都と上手くいってるんじゃなかったっけ?」


「そのつもり、だったけど。アタシの幸せは偽物だったの、バレちゃった。」



何とか笑おうとするけど、上手く笑えない。



「んで、サヤが泣くのは俺のせいだって?」



アタシは嗚咽が止まらずに、ただただ泣きじゃくる。



その間、裕紀はただ黙って、震えるアタシを抱きしめて髪をなでていた。


ちょうどさっきの都と同じように。
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