【短】ハピネス
「…ユキ、ごめんね。」



「何が?」



「だって、ユキはもう関係ないのに、迷惑かけてごめん。」



「いや、いいけど。つーか、サヤが迷惑かけたのは都だろ?」



「…そうだよね。」



裕紀は、アタシの涙で顔に貼り付いた髪をかきあげて、ティッシュと濡れタオルを手渡してくれる。



「ちゃんと冷やしとかないと、明日ブサイクになるぞ〜。」



そう言って、アタシを笑わせようとする。



泣き腫らして、心の中と同じに、メイクもグチャグチャに溶けて、きっと今のアタシは相当にブサイク。



「顔、洗って来る。」


アタシが顔を洗っている間に、裕紀は勝手知ったる我が家で温かいハーブティーを淹れてくれる。


メイクを落として濡れタオルで目元を冷やしながら、多分過去最大に弱ってるアタシはつい本音をこぼす。



「ユキ、あんまり優しくしないで。期待しちゃって、辛くなる。」



「じゃあ、泣くなよ。」



そう言って、アタシの鼻を力一杯つまむ。
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