恋スル運命
周りの景色も、館内にかかるBGMも一瞬にしてフェードアウトした。





たた目の前の絵だけしか瞳に映らない。




ドクン…ドクン…





その絵に視覚を奪われて、苦しいほどに胸が鳴る。





少し前まで海偉にときめいてた時とは違う。





苦しくて、切ない。






ーーあの日、私はこの風景を胸に焼き付けた。





もう2度と訪れる事はない。




だから、




忘れないように、胸の奥で覚えておこう。そう思ってーー…










緑の木々に囲まれた小さなコテージ。




このコテージは、“あの人”の別荘で


“彼”がアトリエとして使っていた。




私は“彼”に会いたくてこのコテージを訪れるようになって、そして……





「……あ…!?」





グラリと景色が揺れて、絵の飾られてある壁に手をついた。





手をついて、少しだけ我にかえる。




我にかえって、また目の前の絵を眺めた。





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