恋スル運命
断片的に思い出した記憶。




そのせいなのか、キーンと耳鳴りがして、頭が割れそうに痛い。





フラフラした足取りで、デパート従業員が階移動で使う、非常階段を目指した。




扉に手をかけ開けた時に、持っていたリーフレットが手から滑り落ちた。




「あッ……」




拾おうと振り返った先に、




視界に美緒と大輔さんと…



彼の姿を見つけて拾うのをやめて急いで扉を閉めた。







扉を閉めて、目の前にある階段に膝を抱えて俯き、座りこんだ。











目を閉じても、鮮明に浮かび上がるさっきの絵。






あのコテージの奥は…





そうだ。





草原が広がっていた。





そこに“あの人”の飼う白馬が放し飼いになっていて




その白馬を、彼と一緒に見に行ったんだったね。





私の気分転換の為だって言って、




乗り気じゃなかった私を強引に引っ張って行ったんだっけ。











あの頃から、強引な所は変わらないんだね。





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