恋スル運命
ただ階段に座っていただけなのに立ちくらみを起こして目眩がした。




でもそれを知られるのが嫌で平静を装う。




「私、今考え事してて、あなたと話す暇はないの」




目の前に立つ神田さんに告げて、横をすり抜け階段を一段降りた。




『待ちなさいよ。話はまだ終わってないわよ』




腕に爪を食い込ませるように捕まれて顔が歪んだ。




「痛いから離してよっ」




叫んだのと同時にギィーっと音を立てて扉が開く。




私も神田さんも、音に反応して扉の方を見た。











『せ、先生、どうしてここに?』





『麗子が非常口に入ってくの見た。戻ってこないからひょっとしてサラがいるのかと思って来た』




言いながら捕まれた手へと視線が動いた。




それと同時に神田さんの手がパッと離れてーー




ホントにただ捕まれた手を離されただけだった。




それなのに、立ちくらみと目眩を起こしてた私の体は、それだけの動作にも耐えきれなかった。




あ、落ちちゃう、と思った時には体が階下へと倒れ込んで行ってた。











『サラッ!!!!』





叫ぶ声と、体を締め付ける強い力。




それ以上の激しい痛みと衝撃を体に感じて





私の意識はプッツリと途絶えたーー…




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