恋スル運命
風を体に感じながら、そっと目を閉じれば、さわさわと草がそよぐ音がよく聞こえた。




『サラ様!』




大声でユーリに呼ばれ、さすがに大の字で寝転ぶなんて行儀が悪すぎたかしらと反省する。




それでもまだ目を閉じたままでいると、ふと陰りを感じた。




ユーリが覗き込んでるのね。本気で怒られないうちに謝っておかなきゃ。




「ふふ、ごめんなさい。さすがに行儀が悪かったわよね。
もう少ししたら起きるから待ってて?」




目を閉じたまま告げると。




『眠たいなら好きなだけ寝てればいい。ーーただ、馬に蹴られても文句は言うなよ?』




頭上からユーリのものとは到底思えない低い声が聞こえてきて、驚き目を開けた。




「ーっ!!?キャアアアアー!!」




目を開けると見えたのは空…ではなく。




鼻をヒクヒクさせた馬の顔だった。




私の大声に驚いた馬が突然鳴いて前足をあげる。




『おわっ!?』




同時にドサッという音と、おかしな声が聞こえて。




馬が走り去った場所には大の字で寝転がっている男の人がいた。





ーーカイだった。





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