恋スル運命
走り去る馬には鞍がついていたのを確認し、私の悲鳴で乗ってたカイが振り落とされたと理解する。




「あの・・・大丈夫?」




ピクリとも動かないカイに恐る恐る近づき覗き込む。





『・・・驚いただけで大したことはない。こちらこそ驚かせたみたいで悪かった』





寝転んだままそう言い目をゆっくりと開く。





『空が見たくて寝転んでたのか!確かに綺麗だし、気持ち良い昼寝に持って来いだな』





「っ、」





少年のような屈託のない笑みを浮かべたカイに、思わず魅入ってしまった。




デッサンのためにここ数日顔を合わせてたけど、笑った顔は初めて見たわ。





なんて澄んだ笑顔なのかしら。





『何だ?俺の顔に何か付いてるか?』




見つめていたことに、気づいたカイが不思議そうに起き上がる。




起き上がったカイの頭は草まみれになっていて、なのにそれに気づかずに真顔で見てくるその不自然さがおかしい。




ダメ、と思えば思うほどこみ上げる笑い。



「あなた笑うと、とても幼い顔になるのね・・・ぷっ。・・・あははっ!それと、頭が草まみれで、緑色の髪が生えたみたいよ?あはは、おかしいっ」




とうとう限界を超えてしまった私は、カイを指差し大声で笑っていた。




< 146 / 161 >

この作品をシェア

pagetop