恋スル運命
彼の知人と談笑してしばらく後に、パーティーはお開きとなった。



帰り道ずっと無言だったジョージさんだったけど、屋敷に戻ると私の腕を引っ張るように歩き出した。




ドレスに合わせて高いヒールを履いていて、足がもつれて、途中でひざを突くように転びかけてしまう。




「サラ様っ」



出迎えてくれたユーリが駆け寄って来たけれど、ジョージさんがそれを手で制し、


「大丈夫だ」


そう言うと、膝の裏に手を入れ、軽々と抱き上げられた。



「じ、ジョージさん、私、歩けます」



慌てて言うけれど、無視して歩き出す彼に、もう何も言えなかった。


見上げた先にある、彼の顔は無表情で、どこか怒っているように見えたからだ。


抱き上げられた腕の中でユーリが心配そうにこちらを見ているのに気づき、心配しなくても大丈夫と微笑んで見せた。



部屋に入ると、ベッドへと連れて行かれ、寝かせるように下ろされた。



身を起こそうとした私にそれを許さないとばかりに、私の両手をベッドへと押さえつけ、押しつけるように唇を重ねてきた。




「・・・・・・んっ」




されたことのない荒々しいキスに為すすべもなくただ受け入れる。




「なぜ、怒らない?」


長い、深いキスの後にようやく唇が離れて、顔を少しだけ離したジョージさんは、少し苛ただしげに、聞いてきた。



「・・・・・・夫婦ですもの。キスをされてどうして怒ることがあると言うのですか?」



「っ。違う!」



キスをしたことについて訪ねられていると思っていた私に、ジョージさんは顔をゆがめて反論してきた。




「っ。君は、僕が、他の誰かとキスをしても何とも思わないのか!?」



彼が言いたいことをようやく理解した私は、言葉に詰まった。



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