恋スル運命
「・・・・・・はぁ」



吐き出されため息にハッとする。
目の前では、カイがテーブルにポンと筆を置いたところだった。



「そんな辛気くさい表情されたら、描く気も萎える」



「・・・・・・ごめんなさい」




肖像画を書いてもらっている最中だったのに、ボンヤリとしていた。



姿勢を正して、口を端を持ち上げるように意識して微笑んだけれど、カイは、やめろと言わんばかりに首を横に振った。



「今日はもうやめた」



カイのいるコテージに来てまだ一刻もすぎていない。


「本当に、ごめんなさい」


もう一度謝り帰り支度をするために、側にいたユーリにコートを受け取り羽織った。



パーティーに行った後から、ジョージさんの優しさが申し訳なくてツラかった。



ツライ、だなんて。
よくよく考えたらなんて勝手で高慢な考えだろう。



そう思うとよけいに落ち込んで、我ながら悪循環だと思う。




フウっと小さく嘆息した私の腕をカイが掴み引っ張った。



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