恋スル運命
「降ろしてよ!」




足をバタバタさせて暴れると、店を出てすぐの所で下ろしてくれた。




降ろされて直ぐに鞄を取り返さなくちゃと手を延ばす。





「あっ」




その手を掴まれて、引き寄せられた。





間近に顔を寄せられてジッと見つめられて動けなくなった。





前髪や髭でで隠れてた顔を至近距離で見る。




よく見ると、造りは悪くないのかもしれない。




上がり眉に合うかのような切れ長二重の目の奥に光る漆黒の瞳。




内田さん同様に通った鼻筋に、薄い唇は誘ってるかのように赤みを帯びて色っぽく見えた。





一見冷めたように見えるけど、瞳は強く光を放っていて、実は熱いタイプなのかもなんて思えてしまう。





『本当に、俺を思い出せないのか?』






静かに尋ねられ、ハッとする。





私、何冷静に分析なんてしちゃってるの?





大きく頷いてから美緒がした質問を私も投げかけた。




「いつ、どこで私とあなたは会ったと言うの?」





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