恋スル運命
大草原の中で、一頭の白馬がたたずんでいて。
どうやら私たちの様子を伺っているようだった。



広大な景色の中にいる一頭の白馬は一枚の絵のようでとても美しく見えた。






座って景色を眺める。



白馬は首を地面にもたげ草を食べている姿が見えた。
そして顔を上げ、弾むように辺りを駆け回り、立ち止まってはこちらを見てくる。



「ふふ、可愛い」




距離があるから逃げずにいてくれるんだろうけれど、構って欲しそうに見える姿に笑みがこぼれた。




「もっと近くで見たら?」



隣から声をかけられて、横を見れば、カイが体を起こして私に問いかけてきた。




「怖がられたりしないかしら?」




「人なつこいヤツだし平気だ」




差し伸べていた手で私の腕を引っ張られ、強引に立たされて歩き始める。



「待って。ユーリが戻って来てからのほうが・・・・・・」



「見える範囲だ。大丈夫だろう」




……言われてみたらそうね。



連れられて近づいていっても、カイの言うとおり逃げもせず、むしろ白馬の方からも近づいてきてくれた。




目の前まで行くと、撫でてくれと言わんばかりに顔を近づけてくる。




そっと白いたてがみに触れると気持ちよさげに目を閉じてきた。




「ふふ、いい子ね」




「乗りたいなら鞍を持ってくるけど、どうする?」



これだけおとなしいんだからきっと、嫌がらずに乗せてくれると思うけど。




「やめておくわ。今日は馬に乗れるような服装じゃないし」



描いてもらうために着たドレスの裾をちらりと見て言うと何故かカイは笑っていた。



「乗るのが怖いとか言わないんだな」



言われた言葉に、ちょっとだけ思案する。



「私ここに来る前は鞍がなくても馬に乗ってたの」



「へえ?見た感じそんな運動神経良さそうに見えないけどな」




「失礼ね!」




膨れて言うと、おかしそうにカイが笑いだす。



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