恋スル運命
程なくして運ばれてきた料理はどれも盛り付けが繊細で、箸をつけるのが躊躇われるくらいだった。





それでも2人の会話に加わるなんて出来ない私はひたすら運ばれてくる料理を口に運ぶ。




どれもこれも美味しくて、顔が綻ぶ。




場の雰囲気にも少しだけ慣れてきて、2人の会話を聞く余裕も出てきた。





そして何となくわかった海偉の職業。





社長がここへ来てから何度も言う単語。





“展覧会”





海偉の大ファンといった社長。





海偉は芸術関係の仕事をしているんだ。




絵?それとも陶芸?はたまた写真家?



『再来月行う画廊での展覧会の前に、飾るだけの展覧会で良ければ考えても良いですよ』





画廊……って事は画家って事?




その言葉に社長は大きく頷いた。





海偉の絵を飾れることは素晴らしい事だと多大な評価の言葉を述べている。





海偉ってそんなに有名な画家なの?





お金に関わる話に入ろうとする社長を海偉は一旦私を見てから制した。

どうやら私には聞かれたくない部分の話らしい。



そりゃ他人には聞かせたくないよね。ちょっと気になったんだけどな〜。




『そういった話は後日に。俺ではなく神田という者を伺わせます』





どうやらその神田さんが海偉の仕事を管理しているらしく社長へいつ打ち合わせをするかだけを確認していた。




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