恋スル運命
社長はやめたなんて残念だとか、是非見てみたいとか言っていたけれど、海偉はそんな社長をただ笑ってかわしていた。





料亭に入ってから2時間が過ぎた頃、ようやく解放される時がきた。





『2人とも家まで送らせるから』





社長のその言葉を私はお断りした。





これ以上堅苦しい空間にいるなんてもうごめんだ。





「まだ時間も早いですし平気です」




『いや、しかし女性を1人で帰らせるわけにはいかない』





『俺が送るのでお気になさらずに。行くぞ』


そう言って社長を納得させ、さっさと歩き始める。





「は?ちょっ……。〜っ!!
社長!今日はごちそうさまでした!」




お礼を言うと私に社長は手を横に振る。





『お礼を言いたいのはこちらの方だ。君が一緒のお陰で、仕事の話もまとまったようなものだ。

彼には散々断られてきたのにこんなにスムーズにいくとは思わなかったよ。

……おっと彼が待ってるな。それじゃ私は失礼するよ』





迎えに来た車に乗り込む社長のお見送りをしながら社長の言葉の意味を考えた。




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