恋スル運命
『メーターはそのままで構わないので少しの間ここで待っててもらえますか?』



タクシー運転手にそう告げて開いたドアから降りていく。





『ほらさっさと降りろよ』




その言葉についつられてタクシーを降りた。




「タクシー待たせてどこ行くの?」





タクシーを待たせてる安心感から海偉の後ろをついて歩くことが出来た。





電灯がポツン、ポツンと離れてある暗い道だから一人の方が心細い。




どこへ行くか教えもせずにスタスタと歩く海偉の背中を追いかける。





少し小脇に入った道に数十段の狭い上へと登る階段が現れた。




『暗いから気を付けろよ』




スッと手を差し出して来た。





階段の段差の急な事とピンヒールの靴の私。加えてアルコールも入ってるし……




迷ったのも少しの間だけで、私は差し伸べられた手に自分の手を重ねた。





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