恋スル運命
どれくらい夜景を眺めていたんだろう。





「…クシュンっ」





ビュッと吹いた風の冷たさに出たくしゃみ。




それを合図に、海偉が『そろそろ戻るか』と言った。




私もその言葉に頷いて、ゆっくりと夜景へと背を向け来た道へと足を向ける。





来たときと同じように手を繋ぎながら階段を一緒に降りる。





降りきってタクシーが目で確認出来るとこまで歩いた頃、海偉が私に話しかける。





『また見たいと思ったら言え。いつでも連れてきてやる』





「……うん。アリガト」





綺麗な夜景を見せてくれた海偉に素直にお礼を言ってる自分が不思議だった。





“また”それは次も会う約束をしてるみたい。




もう会いたくないって思ってた気持ちは、少しずつ薄れていってた。





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