恋スル運命
仕事相手の神田さんの事を海偉が“麗子”って親しげに呼ぶ事、さっきからずっと気にかかってたんだよね。




私の事も勝手に呼び捨てにするように、神田さんの事も最初から呼び捨てだったの?




あ、なんか駄目だ。




海偉に対して無償にイライラする。




神田さんみたく親しい人がいるくせに、私にまでちょっかいかけるって何様よっ!




「……海偉」




もう頭は撫でてはなかったけれど、いまだに神田さんと向かい合っている海偉を静かに呼んだ。




『あ?』




あ?じゃないしっ!




「話が済んだなら帰ってくれる?私仕事中だし、お客でもないのにそこにずっといられるの困るんだよね」




『ああ。悪かったな。

仕事終わったら電話、忘れるなよ?』




そう言う海偉に神田さんは不満気な顔をした。




私はというと……

にっこり営業スマイル頷いて見せた。









頷いて見せたけど………



神田さんにも私にもちょっかいかける海偉なんかに

誰が電話なんてするもんですかっ!!!





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