恋スル運命
睨み付けたまま記入済みの用紙を渡され目を通す。





『私に合う色を適当に選んで頂戴』





「かしこまりました」




適当なんて言ってるけど、気に入らない色を選んだらすごく文句言われそう。




数色あるルージュを見ながら考えた。




今日も真っ赤な色をした神田さんの唇。




似合うんだけど、その唇の色がきつい印象を与えているのは確か。




印象通りきつそうな人って思った。




実際こうして私に会いに来るあたり勝ち気な性格なのかもしれない。




でもその印象を表面に出す必要はないんじゃないのかな。




そう考えた私は、ルージュではなくてリップグロスの見本を1本手に取った。





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