君のとなり ~星は見えない~
「今日14万稼いだよー」
「へぇ…」
笑って言ったと思ったら、いきなり美聡は暗い顔をする。
「マジやってらんねぇ。なんか無駄」
「……なら、援交なんかしなければいいじゃん」
「私の居場所がなくなるの」
美聡のその言葉に、思わず笑った。
「…みんな真っ暗闇のなかにいんだね」
「え?」
「健も美聡も、渉くんも。夜にしか動けないもんね。私も」
あー、と、頭をかきながら、苦笑ぎみに私を見る。
その顔が、絶望的な感じで、
「ウチらに太陽は眩しすぎるかな。
でもシオは別に普通じゃん?」
思わず顔を歪めた。
普通…?
「普通じゃないよ……」
どうしたの、って顔をするけど、美聡は聞いてこない。
私たちには暗黙の了解がある。
人を干渉しないこと。
自分が言うまで、人には言わない。
4人で決めたルール。
これが、私達を、私達の心をぎりぎりで保つための、ルール。