ハッピー☆ハネムーン
海と空と太陽と。
「すごぉ~い! ねッ あれ、見て!」
狭い飛行機の機内で、あたしのテンションは絶好調。
隣に座る、愛しのダーリンの肩をバシバシと遠慮なく叩いた。
「…イテ! …なに?なにが?」
そう言って、彼は耳に当てていたイヤホンを取ると、あたしの肩越しに窓を覗いた。
「ほら、あれ! すごくない?」
「…………」
あたしは彼の反応が楽しみで、瞳をキラキラさせてその答えを待った。
暫く窓の外を眺めていた彼は、体を元の位置に戻した。
何も言わない、彼。
彼は黙ったまま、カップのぬるいコーヒーの残りを飲み干した。
「…慶介?」
「…あのな。 さっきも言ったけど。俺は飛行機の羽から出る粒子には興味ない」
ええぇ?
そう言って、呆れたようにあたしを見ると「ふう」と溜息を付いた。
…つまんない。
興味ないかもしれないけど……おもしろいんだもん!
羽から煙出てるみたいなんだもん。
頬を膨らませて、慶介を睨む。
そんなあたしに気づいて、慶介は少し視線を泳がせた。
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