ハッピー☆ハネムーン


慶介は、慣れた手つきで店員を呼ぶとさらりと英語で注文してしまった。



へえぇぇ~

新たな一面……



尊敬の眼差しのあたしに気づいて、慶介は少しだけ視線を泳がせた。


「何言ってたか わかった?」

「…な!? …わかってたもん!」


ワナワナと顔が火照るのを感じる。
そんなあたしの顔を見て、慶介は「ごめん ごめん」なんて悪戯っ子のような笑顔を見せた。


もぉ~う!!
だから、その顔反則なんだってばぁ!!


それ以上言い返す事が出来なくなって、あたしは頬を膨らませる。


慶介って、色んな一面多すぎるよ…

それを見つけるたびに…あたしの胸が張り裂けそうになる。



椅子に身を投げ出して、店内の様子を伺うその姿。
黒いTシャツが、彼の黒髪とその綺麗な肌を際立たせている。


はあ……
なんか…もう、慶介の仕草全部にあたしの細胞が反応してるし…。



まだ冷めない頬をそっと両手で押さえてみた。
その感触に、あたしは「熱い」と実感する。


「?」


頬を押さえているあたしを見て、慶介は不思議そうに首を傾げた。


こんなにドキドキしてるんだよ?

さっきからずっと!!


そうこうしているうちに、テーブルには美味しそうなハワイのローカル料理が並んだ。

見た目は、ハンバーグと目玉焼きがご飯の上に乗っかってるって感じ。


どれどれ?


「……うん。美味しい!!」


結構濃いのかな…と思ってたけど、実際は意外にあっさりしていた。

あたし達が料理を堪能してると、いつの間にか賑やかだった店内は一転、ムードのあるピアノサウンドに変わっていた。


スッと耳に入ってくる旋律。

あたしは思わず手を止めて、ステージに視線を向けた。




あ……―――


その瞬間、あたしは思わず生唾をゴクリと飲み込んだ。

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