ハッピー☆ハネムーン
小さなステージの上。
ピアノを弾いていたのは、日本人だ。
まるで一輪の花のような可憐な女の人。
真っ黒なショートヘア。
真っ黒なドレス。
それを引き立てるような、雪のような白い肌。
『美人』と言う単語が1番しっくりくると思う。
ピアノを奏でるその繊細な指先。
彼女の指先は、別の生き物のように鍵盤の上を滑っている。
さっきまでのお店の雰囲気が一気に彼女によって変わってしまった。
お店にいるお客さんの全てが、ステージ上の彼女に魅せられている。
「すごく綺麗な人だね。 ね?慶介……」
溜息混じりに、慶介に視線を移す。
え。
あ…あれ?
みんなが彼女に注目する中、慶介だけは目の前の料理に集中しているようだった。
慶介は、あたしの言葉に「なに?」と顔を上げた。
「う…うんん。なんでもない」
不思議な人だなぁ
ビーチでもそうだったけど…
慶介ってあんまり女の人に興味ないのかな?
あたしは、目の前の男をマジマジと見つめる。
あ…そうかぁ
もしかしてB専とか?
なるほど~~だったら納得!!
………
「ええぇぇぇえ!?」
「はぁ?」
ってそれってどうゆう事!?
なんか納得いかないんですけどぉぉお!?
慶介は、眉間にシワを寄せ首を傾げてる。