ハッピー☆ハネムーン
すでにベッドに入っていたあたしに、ジリジリと歩み寄る慶介。
ギシ…
ベッドが軋む音。
ま…まさか…?
急に胸がドクンと騒ぎ出した。
少し伸びた前髪の間から、あたしを捕らえたままの慶介の瞳。
あたしは、急に魔法に架かったかのように身動きが取れなくなった。
どう…どうしよう……
ガチガチの体。
自分でも息をするのがやっとだとわかる。
あたし…全然成長してないし。
堪らず視線を手元に落とす。
手のひらにじっとりと汗をかきながら、あたしはシーツを握り締めた。
視界の中に、慶介の手が見えた。
体温を感じる距離にいる。
あからさまに緊張してるあたしを見て、慶介が笑ったように思えた。
もう、顔は真っ赤だ。
部屋が真っ暗でよかった……
「……」
「……」
一体どれくらいの時間がたってるんだろう。
きっと数秒の事。
だけどあたしには永遠に感じた。
息が詰まりそうな空気の中、慶介が少し息を吸い込むのがわかった。
「…葵」
「………」
慶介の大きな手があたしの頬を包んだ。