ハッピー☆ハネムーン
「…さっきから、謝ってばっかりだね。 ってゆーか、昌さん…いいの?」
そうだよ。アツシ君だってこれでいいはずがない。
付き合ってる自分じゃなくて、他の男を連れまわしてるんだから。
…平気で慶介の体に触れちゃうし。
今だって、なぜかあたし達はここにいて、2人は迷路に入って行ってしまった。
「2人…付き合ってるんでしょ?」
あたしの質問に、アツシ君は黙って手元のコップを見つめている。
暫く何かを考え込んでいた彼は、
「違うんだ…」
と言いながら、ベンチの背に身を預けた。
「俺達、付き合ってなんかいないんだ」
「え?」
そう言ったアツシ君の顔が曇ったのがわかった。
見てればわかる。
アツシ君が、昌さんの事を『好き』だって…。
でも…ならどうして、2人は一緒に旅行してるんだろう。
昌さんは各国を回ってるって言ってた。
付き合ってもいない2人が、長期旅行を共にするんだろうか?
そんなあたしの疑問がわかったのか、アツシ君は苦笑いをして短い髪をくしゃっと触った。
「昌の旅行に…俺が勝手に付いて来ちゃったんだよ。 昌は嫌がってたけどね。 1人にするのが心配だったんだ。
彼女……最近 いい事なかったから」
そう言って、アツシ君は2人の事をゆっくり話てくれた。
昌さんの事も……