ハッピー☆ハネムーン
慶介だって、きっとあたしみたいな山も谷もあるかわかんない体より、絶対あーゆうのがいいに決まってるよね?
慶介は、潮風にその黒髪をなびかせて、ほんの少し目を細めている。
その瞳は、目の前の女の人なんかじゃなくて、どこまでも続く青い大海原を眺めていた。
綺麗・・・
太陽の陽射しに照らされて、その黒髪はダークブラウンに色を変えている。
遠くを見つめるその横顔は、なんだか儚げに見えた。
どうして・・・慶介は男の人なのにこんなに綺麗なんだろう・・・
慶介は、あたしと結婚してからトレードマークだった眼鏡を外す事が多くなった。
元々視力は悪くないんだって。
つまり、伊達眼鏡。
眼鏡をしてないとすごく若く見える慶介は、会社では舐められないようにと眼鏡をかけていたらしい。
確かに。
眼鏡をしてるのと、してないのじゃまるでその印象を変えるから不思議だった。
あたしは今でも、そのギャップにドキドキさせられてるんだ。
ほら。
今だって、こうして隣に並んでるだけだってこんなにあたしはドキドキしてる。
ちょっとだけ、悔しいな・・・・
いつもあたしばっかり、いっぱいいっぱいだよ。