ハッピー☆ハネムーン


――明かりを消して。
その指先からすべてを感じて。




人の体って
こんなに重たいんだね。





頬にキス。

耳にキス。

首筋にキス。

唇にキス。



繰り返される慶介の愛撫に溺れてしまいそうになる。




「あはは……くすぐったい」




恥ずかしくて身をよじるあたしに、慶介は目を細めて笑う。


そして、そっと解かれた胸元にキスが落とされる。





「……んっ」




小さな声が漏れて、思わず口を手でおさえた。



そんなあたしの手はあっという間に解かれてしまう。

慶介は頭の上に掴んだ手を持っていくと、悪戯に微笑んだ。






「……我慢しないで。
ちゃんと葵の声……俺に聞かせて」





そんな事いうなんて……。
反則だよ……。




慶介の切ない囁きで
知らないあたしが顔を出す。

大事に大事に慶介に肌を触れられて、
そこからふにゃふにゃに溶けちゃいそうだ……。






大きなベッドが軋む音。
シーツの擦れる音。


交ざり合うふたつの吐息……





ずっと心臓がドキドキしてて……。



体の奥から気持ちが溢れて……
心が震えた………。








明かりを消した暗い室内は、ぼんやりと月の光に包まれていて。



まるで、その中には細かな粒子が含まれているようで

あたしを見下ろす慶介がキラキラしてて眩しさに目がくらんじゃう。



あぁ……
なんでこんなに色っぽいんだろぅ……。



耳元で囁かれるたびに、あたしの体は熱をもつ。
愛しさが溢れて、たまらずに慶介の背中に腕を回してその首にしがみついた。




「……葵」





ずっと、こうして欲しかった。

あたしの名前を呼んで欲しかった。




ずっと……ずっと。
愛してるよ。










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