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『――――――』


気が付けば見知らぬ光景が目の前に広がっていた。


綺麗な一軒家。


建てられてまだ新しい・・・


そこには幼い少年とその母親らしい女性が居た。


母親は電話で何か話している・・・


少年はそれをただ、じっと見ている。


『そ、そんな・・・こっちに向かっているって・・・』


母親の様子は慌しかった。


まるで今から自分達に起こる身の危険を感じるかのように・・・


その時だった。


ガシャアアァァァン!!!


驚く間もなかった。


今のガラスが勢い良く割れた。



ガシャッ・・・ガシャッ・・・


ガラスの破片を踏み潰しながら家に土足で入り込む影が見えた。

その侵入者は人間とは思えない不気味な表情で少年と母親を見ている。

『お前らが赤星の野郎の家族か・・・』

侵入者の手にはナイフが握られている。

明らかに目の前に居るか弱き標的を襲う気だ。

『裂!?逃げなさい!?』

母親は真っ先に叫んだ。

だが、少年は足が震えている。

恐らくは恐怖のあまり、足がすくんでしまったのだろう。

『早く!?』

そう言って母親は部屋の外に少年を突き飛ばしてそのままドアを閉めた。

少年だけでも助ける為に母親としての性が働いたのだろう。

『か、母ちゃん・・・』

部屋の外に突き飛ばされた少年は唖然としてまま閉められたドアを眺めていた。

その直後だった。

『あああああああ!?』

悲鳴だった。

女性の苦痛混じりの悲鳴―――

少年はそれが母親の悲鳴だと言う事がすぐに分かった。
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