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ザクッ

歯切れのいい音が聞こえた。

だが、同時にそれは悲鳴に変わった。

『うわああああああああ!?』

少年は叫んだ。

ありったけの力で叫んだ。

先程まで恐怖でなくしていた体の力が呼び戻されたような気がしたが、同時に酷い痛みに襲われた。

それもそのはず、少年は右目をナイフで刺されたのだ。

『ははははは!?泣け、叫べ・・・ははははは!?』

苦しむ少年を見て侵入者は面白そうに笑う。

だが、少年にはそれどころではなかった。

完璧に右目はもう見えないだろう・・・

『さて・・・死ね・・・』

侵入者は今度は止めを刺すつもりでナイフを少年の胸に・・・心臓を目掛けて振り下ろした。

だが、それは防がれた。

パァン!?

銃声が聞こえた。

その弾は侵入者を狙ったが、侵入者は鋭く反応し、それをかわす。

だが、その弾は侵入者には当たらなかったものの侵入者の持っていたナイフを弾いた。

『・・・貴様・・・赤星だけでなく、そんな幼い少年まで・・・』

その銃を発砲したのは父親と同じぐらいの歳の男だった。

『金豪か・・・邪魔しやがって・・・まあ、いい・・・坊主、命拾いしたな。』

興が冷めたのか、侵入者は侵入した場所から素早い動きで逃げた。

金豪と呼ばれる男はそれを追おうとしたが、目から血を流して蹲る少年を見てそれを止めた。

『裂!?しっかりしろ!?裂ぅ!?』
『おじ・・・ちゃん・・・痛いよ・・・いた・・・』
『しっかりしろ!?お前だけでも生きるんだ!?』

男は少年を抱えてそのままその家の中から出た―――
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