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第五章・決意と連携プレイ
翌日、裂君はいつもの調子だった。


昨夜、悲しい過去の夢を見たのにも関わらず―――




「今日は徹底的に店内の掃除だ!?いいな?」
その日、マスターは気合の入った声でそう僕と裂君に言う。
「てっていてきって・・・」
「こら、嫌そうな顔をするな!?年末にまとめて大掃除をするぐらいなら日頃からちょくちょくやって、年末はちょろっとやる方が効率がいい。」
「・・・何か、ちょっと違う気がする・・・ただ単に年末に楽がしたいってだけじゃ・・・」
「つべこべ言わない!?」
マスターに強く言われた裂君は渋々返事をしている。
だが、僕はそんな事よりも裂君の心を無断に覗いた後悔で頭がいっぱいだった。


まだ、自分にそんな能力がある事すら明かしていない―――


こんなので本当に“トモダチ”と言えるのだろうか・・・?







そして、営業時間になった。
先程、マスターが言っていた掃除は営業時間が終わってから行う。
なのでそれまで僕達は裏方に回る。
しかし、なかなか出番は来ない。
「・・・今日はお客さん、少ないのかな・・・?」
「う、うん・・・そうみたいだね・・・」
僕は戸惑いながら返事を返す。

どうしよ・・・

裂君の顔がまともに見れない・・・

「なあ、秋人・・・」
「な、何・・・?」
いつもにまして裂君が真剣な顔をしている。
僕は戸惑った。
「・・・ちょっと・・・来いよ・・・」
「え!?れ、裂君・・・」
僕は少し強引に手を引かれて裂君に連れて行かれた。


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