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「・・・羨ましいな・・・」
不意に僕は呟いた。
「え?何処が?片目を刺されて両親殺されてるんだぞ?」
そう苦笑いをしながら裂君はそう言うが、僕は構わずこう言った。
「・・・僕も・・・裂君みたいに強く生きれれば・・・」


過去と向き合う“強さ”


他人と向き合う“強さ”



目の前の困難に立ち向かえる“強さ”―――



裂君にはあって僕にはない物

だから、僕は裂君が羨ましかった。

「・・・お前、アホか?」
「Σえ!?いきなりアホって・・・」
突然、呆れ気味にそう言われて僕は動揺する。
すると、裂君は面倒臭そうにこう言った。
「今から“強く”生きればいいだろ?まだ、俺達、先は長いんだし・・・」
「いま・・・から・・・」
「そうそう、後ろ向きになっててもなーんもイイ事ないだろ?だったら、もう前に進むしかないって。俺もそうしてきたから。」


そうだ、どうして今まで気づかなかったんだろう・・・?


いや、気づいていたけど、気づかないフリをしていただけかもしれない・・・


マスターの優しさに甘えて、自分の中に閉じこもって、過去から逃げて・・・


だけど、裂君に出会えて、“トモダチ”になってから次第に分かってきた。




僕も前進しないといけないって事を―――



「・・・」
「・・・Σうわっ!?何、お前泣いてんの!?ベ、別に夢を覗いた事なんて気にしてないから!?“トモダチ”だろ!?」
不意に涙が出た。
それを見て裂君は無茶苦茶動揺しているが、僕はこう告げた。
「・・・ありがとう・・・」
「え・・・?」
「・・・僕と“トモダチ”になってくれて・・・いや、出会ってくれて・・・本当にありがとう・・・」
「・・・なんだ、それ?」
裂君は僕の言葉に首を傾げながらも笑ってくれた。
僕も涙を流しながらも笑ってみせた。
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