短編集
人の目が気になった。
中学に入ってからは余計悪化した気がする。
あいつの目に、あたしはどんな風に映ってるんだろう。
可愛く映ってたら嬉しいけど。
うざい奴だとか思われてたらどうしよう。
努力もせずに最悪の結末ばかりを想像するあたしが、一番最低だった。
そう自覚してから、人に嫌われるのが怖くて。段々他人と距離をとるようになって。人見知りして。男子と、もちろんあいつともあまり話さなくなった。
そんな時に聞いた噂。
噂、なんて生温いものじゃない。真実だと理解するのに時間は要らなかった。
中一の、夏。
あいつに彼女が出来た。
バスケ部で、頭が良くて少し華奢な子で。
可愛い、『女の子』だった。
不思議とショックは無かった。
「ああ、やっぱり」
どこかで諦めている自分がいた。