キミイロ。【LOVEドロップス参加作品】
キミイロ。
その日は、朝から冷たい雪が降り積もっていた。
それは2月の半ば。
高3のオレにとって、とても重要な本命の大学試験の日。
緊張で少し引きつった顔をほぐすため、玄関で大きく深呼吸をしてから見送りにきた母親へと振り返る。
「んじゃ、いってくる」
本当なら、あと30分は家にいても余裕なはず。
でも、降り止む様子のない雪に、交通機関の乱れを予想して予定よりも早く家を出ることにした。
ドアノブに手を掛けると、背後からでっかい声が響く。
「疾風!!くれぐれも滑らないようにね!!
こんな日に滑ったら、洒落にならないわよ」
その言葉に、ずっこけそうになったのは言うまでもない。
「……へいへい」
普通とは少しズレた母親の言葉に、適当に答えると、オレは勢いよくドアを開けた。