キミイロ。【LOVEドロップス参加作品】
キミイロ。


その日は、朝から冷たい雪が降り積もっていた。


それは2月の半ば。

高3のオレにとって、とても重要な本命の大学試験の日。


緊張で少し引きつった顔をほぐすため、玄関で大きく深呼吸をしてから見送りにきた母親へと振り返る。


「んじゃ、いってくる」


本当なら、あと30分は家にいても余裕なはず。

でも、降り止む様子のない雪に、交通機関の乱れを予想して予定よりも早く家を出ることにした。

ドアノブに手を掛けると、背後からでっかい声が響く。


「疾風!!くれぐれも滑らないようにね!!
こんな日に滑ったら、洒落にならないわよ」


その言葉に、ずっこけそうになったのは言うまでもない。


「……へいへい」


普通とは少しズレた母親の言葉に、適当に答えると、オレは勢いよくドアを開けた。











< 2 / 25 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop