キミイロ。【LOVEドロップス参加作品】
電車は止まってこそなかったが、徐行運転で20分に1本ペースだという。
しかも、ここは路線の中途半端な位置にある小さな駅。
ノロノロ運転の電車が来たところで、もうすし詰め状態で、乗れる人数も限られていた。
これじゃあ、受験に間に合わないかもしれない。
そう思い、受験予定の大学に連絡を取ってみる。
「あの、すみません。今日そちらを受験する予定の小田桐と申しますが……今、雪で電車が遅れていて……」
震える声でそう言うと、電話口の女性はとても丁寧な口調で、90分遅れになることを教えてくれた。