Chocolate concerto-三村カルテット物語-
-Cioccolato! Cioccolato!-


「タイチせんぱ~い!Happy Valentineで~す。」

教室へ向かう途中、後輩が僕に可愛らしくラッピングされた袋を差し出しニコリと微笑む。


「あっ、ありがとう~。」

「いつもお世話になってます。これ、管弦楽サロンの皆からの気持ちでぇす♪。」

後輩はそう言うと、僕にペコリと一礼し風の様な速さで走り去って言った。


(あはは、今年の義理チョコ1号ゲット。)

僕は、廊下の柱の影に少し身体を傾げてバッグの中にチョコを滑り込ませた。
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