Chocolate concerto-三村カルテット物語-
「はいはーい。碧海君、チョコのデリバリーでーす。」

浩史がおどけた口調で、両手に抱えたチョコを碧海の机の上にザッと音をたてて広げた。
松浦は”ごくろうさま”とでも言うように首を傾げ、受取人の碧海の顔をチラリと眺めた。


「碧海、高一でこのチョコの量って…ちょっと凄くない?」

碧海宛のチョコが気になる松浦は、机の上で無造作に重なり合っているそれらを指先で一個ずつひっくり返しながら感心したように言った。


「別に…。俺チョコ嫌いだし、バレンタインって全然興味ねぇもん。」

彼女の賛辞の言葉にも、碧海はバイオリンのペグを締めながら面倒臭げに答えた。

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