14才の地図
「おぉ。逆瀬川、笹原の親、来てたか?」
佐伯は、思いだしたように、あたしに訊いた。
「え? 来てませんでした」
ありのままを、答える。
「そうか。しょうがないな。ま、とりあえず、笹原を呼んでくれ」
「はい」
教室を出て、廊下の待合い室をのぞくと、あれ? 誰もいない。
「真紀ちゃん?」
ちょっと声に出して呼んでみた。
返事はない。
「先生。真紀ちゃん、いません」
くるりと振り返って、報告した。
「なに? まったく、親が親なら、子も子だな…!」
にがむしを噛みつぶしたような佐伯の顔を見て、あたしは、吹き出しそうになった。
やっぱり、真紀ちゃんて、かっこいー。
従順に三者面談を受けるふりをして、自分の番でさっさと消えちゃうなんて。
あたしは、すごく、痛快な気分になった。
「ああ。いい。おまえは、帰っていいぞ」
「はぁい」
あたしは、平静をしっかりと装ったまま、おばちゃんと連れだって教室を出た。
真紀ちゃんは、あたしがやりたくても出来ないことを、いつも平気でやってのける。
すごいなって、思う。
真紀ちゃんみたいになれたら、きっと…。
あはは。
そしたら、パパも、おばちゃんも、あわてちゃって、たいへんだろうな。
あたしは、廊下を歩きながら、くすくすと、笑った。
佐伯は、思いだしたように、あたしに訊いた。
「え? 来てませんでした」
ありのままを、答える。
「そうか。しょうがないな。ま、とりあえず、笹原を呼んでくれ」
「はい」
教室を出て、廊下の待合い室をのぞくと、あれ? 誰もいない。
「真紀ちゃん?」
ちょっと声に出して呼んでみた。
返事はない。
「先生。真紀ちゃん、いません」
くるりと振り返って、報告した。
「なに? まったく、親が親なら、子も子だな…!」
にがむしを噛みつぶしたような佐伯の顔を見て、あたしは、吹き出しそうになった。
やっぱり、真紀ちゃんて、かっこいー。
従順に三者面談を受けるふりをして、自分の番でさっさと消えちゃうなんて。
あたしは、すごく、痛快な気分になった。
「ああ。いい。おまえは、帰っていいぞ」
「はぁい」
あたしは、平静をしっかりと装ったまま、おばちゃんと連れだって教室を出た。
真紀ちゃんは、あたしがやりたくても出来ないことを、いつも平気でやってのける。
すごいなって、思う。
真紀ちゃんみたいになれたら、きっと…。
あはは。
そしたら、パパも、おばちゃんも、あわてちゃって、たいへんだろうな。
あたしは、廊下を歩きながら、くすくすと、笑った。