14才の地図
パチン。

眼の上で、糸を切った。

「さ。おしまい。たっぷり休んで、早く元気になるのよ」

「さつきサン…」

「なぁに?」

「ありがとう」

「なに、改まってんのよ。テレるじゃない」

「あたし、大人になったら、さつきサンみたくなりたい」

「よしてよぉ。ろくでもない男にひっかかって、タイヘンなんだからぁ…」

そう言って、さつきサンは、豪快に笑った。

美人なのに、ぜんぜん気取ってなくて、お医者さんだから、頭もすごくいい筈なのに、あたしなんかと対等に話してくれる。

こんな人が、お姉さんだったらなぁ、なんて、本気で思った。

「じゃ、2人、呼んでくるね」

さつきサンは、そう言ってドアへ向かった。

その後ろ姿を見つめてるうち、だんだん眠くなってきて、あたしの意識は、するんと眠りの中に落ち込んで行った。
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