14才の地図
弥勒寺は、車を発進させる。

相変わらず、マフラーに穴が開いてるみたいなすごい音。

「えーこちゃんて、どんな子?」

弥勒寺が、訊いた。

「ふつーの子だよ。あー。でも、ふりおは嫌いかもね」

朽木サンに初めて会った時のことを思い出した。

えーこ、ビビりまくって、逃げちゃったんだっけ。

「げー。大丈夫かよぉ。俺なんかが一緒でぇ」

弥勒寺って、典型的なボーソーゾクの顔してるからなぁ。

「あははぁ。それ言うなら、あたしなんか、傷だらけぇ…」

ホント、なにやってるのかって、思うくらいの姿だよねぇ。ほっぺとかも、まだ腫れてるし。

「でもさぁ。弥勒寺がパシリやってたの、誰も気づかなかったんだから、不思議よね」

「だって、総長のオンナ、みんな知らねーもんよぉ」

「あー。さつきサン、弥勒寺の先輩なんだって?」

「げげ。あの話、聞いちゃった?」

「なんの話?」

「あー。いやー。聞いてないなら、いーんだ」

あたしは、くすっと笑った。
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