14才の地図
「えーこぉ!」

車の中から、手を振った。

えーこが、気づいて、こっちを見る。

あれ?

なんか、様子が、へん。

「とめて」

すぐに車から飛び出した。

こっちを見たまま、硬直しているえーこに、駆け寄る。

ちょっと左足をひきずりながら。

「えーこ、久しぶり」

笑いかけた。

だけど、えーこは、変な眼で、じろじろあたしを見る。

腕と足にホータイ巻いて、顔にもバンソーコ貼ってる姿は、さすがに奇異に見えるらしい。

「あ、これ? 電話で言ったでしょ? ちょっとケガしちゃったって。でも、もう、だいぶ、いいの」

「なんで? なんでこんなケガしたの?」

その口調は、心配するというよりは、むしろ、詰問するようだった。

「え? ちょっと、防波堤から、落ちちゃって…」

でまかせを言った。
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