14才の地図
「それに…」

弥勒寺の方を見た。

「あの変な色の車、なぁに?」

「セリカだよ。一応」

「普通じゃないよ。乗ってる人も、ヤクザみたいだし…」

「そんなことないよ。いいやつなんだから」

えーこは、ふるふるとかぶりを振った。

「あたし、いい」

「いいって、何が?」

「用、思いだした」

「えーこ…」

「あ、もう、時間ないや」

「じゃあ、送ってあげるよ」

「えっ。いい。いい。走ればすぐだから」

「でも…」

「じゃーね。ほんとにいーから。ばいばい」

まるで、逃げるように、えーこは、福祉センターの方へ走って行った。

あたしは、あっけにとられてしまって、ボーゼンとその後ろ姿を見送った。

なんで、こんなことになったのか、判らなかった。
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