14才の地図
ダッ、と駆け出す。

単車は追ってこない。

辻堂団地の辺りまで来て、あたしたちは、ぜーぜー言いながら公園の芝生に転がった。

「なぁんで、逃げんのさぁー」

芝生の上で、あたしは大の字になった。

「だぁって、まーいー。怖いじゃん。笹原サンの彼氏かもしれないしぃー」

「なぁんで、彼だったら逃げんのよぉー」

えーこは、どたっと、あたしの上に覆いかぶさった。

「ばかぁ。笹原サンの彼って、ボーソーゾクなんだからっ!」

あー、そういえば、堂々とノーヘルで走ってる人って、あんまり、いないなぁ。

だけど、あの人、とっても不思議な眼をしてた。

なんか、こう、怖いけど、見ていたい、みたいな。

「でもさ、あの人、ステキっぽかったじゃん」

「えぇえ!? まいの好みって、あーゆータイプぅ? ふりおだよー」

そーかなー?

サーフシャツから伸びていた陽にやけた腕なんか、とってもたくましくって、抱きしめられたら、護られてる、ってかんじだと思うけどなぁ。

まあ、えーこは、ジャニーズふうの可愛い男の子がタイプだから、しょーがないけど。

やっぱり、あたしは、ちょっと好みだったなぁ、なーんて。

それから、えーことは、8月に入ったら、泳ぎに行こうねって約束して、別れた。
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