14才の地図
家に帰って、クーラーを入れた。

閉め切っていた誰も居ない部屋は、あつくて、むんむんしていた。

ベランダのレースのカーテンを開け放つ。

眼の前の下水処理場の向こうに、海が広がっていた。

明日から夏休みだというのに、とりたてて予定もない。

パパは、製薬会社の研究員で、毎日帰りが遅い。

日曜日も、休日出勤。

週に3度は、午前様。

隣のおばちゃんが、夕飯をご馳走してくれたり、いろいろと面倒をみてくれる。

でも、おばちゃんちの長男だった健一くんが、バイクで死んでから、愚痴っぽくなった。

いつも、二言目には

「健一も、まいちゃんくらい素直ないいこだったらねぇ」とくる。

そんな愚痴は、たまんない。

テレビをつけた。

いつもとおんなじ番組をやっていた。

帰る前に、えーこと別れてから、コンビニで買ってきた、ツナマヨにかぶりついた。
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