14才の地図
「そんなんじゃ、ないです」

あたしは、心の中を見すかされないように、表情をつくって否定した。

「遠慮することないわよ。言ったでしょ? 割り切ってるって」

割り切る…?

それは、遊びってこと?

「あたし、まだ、割り切るとか、よくわかんないみたい…」

さつきサンは、優しく微笑んだ。

「いいなぁ、そーゆーの。そういう時って、好きな男のために命張っちゃったり出来るのよね」

え?

「勿論、周りが見えなくなるほど、のめり込んじゃうのは危険だけど、ね」

「さつきサン…?」

いったい、何が言いたいんだろう?

今日、わざわざあたしをここへ呼んだのは、実は何か言いたいことがあったからだったのかな?

「判る? あたしの言いたいコト」

お説教じゃないコトだけは、確か。

この人は大人だけど、世間体とかに縛られてるツマンナイ大人じゃない。

「ねぇ。死んじゃ駄目よ。これ以上がんばれないって思った時でも、決して諦めちゃ駄目」

唐突なその言葉に、あたしはちょっと驚いた。
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