14才の地図
それからあたしたちは、海岸に出た。

海岸を少し散歩して、レストハウスで昼食を取る。

朽木は、すごく明るくて、健全な青少年ってカンジだった。

こんなふうにフツーに喋ったり、遊んだりしてたら、血まみれになって救急車で運ばれたことなんて、忘れてしまいそう。

でも、おでこに貼ったバンソーコーが、あれは夢じゃないって、言っていた。

「ねぇ。訊いてもいいかな?」

「なに?」

あたしは、パスタを口に運びながら、朽木を上目づかいで見た。

「朽木、なんでゾクに入ったの?」

「は?」

朽木は、一瞬、ほうけた顔をした。

こんなこと訊く奴なんか、いないのかなぁ?

「なんで?」

「なんでって、…なんとなく」

「ふうん」

「言いたくないなら、いーけど」

朽木は、ミネストローネを、ずるずるとすすった。

「べつに、家庭が不幸とか、そーゆーんじゃねーよ。ダチが、トルエンもぐりで流してて、俺、人がいーから、そいつの身代わりでボッコボコ殴られてぇ…。そいで、くやしーから、反撃したら、また殴られてぇ…」

「なんだ、殴られてばっかじゃん」

「そーだな…」
< 162 / 225 >

この作品をシェア

pagetop