14才の地図
そして、8月10日。

花火大会の夜が来た。

あたしたちは、のり子んちから、花火を見ていた。

窓から、高く上がった打ち上げ花火が見える。

朽木が、タバコをふかしている。

ガタは、のり子のヒザマクラで寝てる。

真紀は、あたしと並んで、窓から花火を観てる。

誰も、なんにも言わない。

ドーン。

パラパラパラ…。

ドーン。

お腹の底から持ち上がるような音が、プレハブと共鳴して、低く響く。

今、海岸で花火を観ている人たちは、このあと、ゾク同志の戦争があるなんて、知らないんだろーなぁ。

ドーン。

ドドン。ドン。ドン。

全面戦争みたくなっちゃって、ホントに死人とか、出そうになったら、決着つける方法って、ひとつっきゃないってゆってた。

頭同志が、タイマン張るんだって。

『血狼』の三条ってのは、日本刀とか持ち出して、人斬り以蔵とかってうそぶいてるアブナイ奴なんだ。

よく、年少送りにならないなって、不思議なくらい。

汚い真似もヘーキでするし、仲間だって売るらしい。
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