14才の地図
「ねー。近くに、ガタ、いるぅ?」

『おー。出そうか?』

「うん。お願い」

『ガタぁー。女が喋りたいってぇー』

「和枝」

あたしは、和枝に受話器を渡した。

「おっ、おっ…。緒方さぁーん。えーん」

あぁ…。

くらくらする。

体中が心臓になったみたい。

ズキン。ズキン。ドキン。ドキン。

椅子に、座った。

「まいー。あんた、すごいねー。泣いてないじゃん」

香奈美が、真っ赤になった眼であたしを見た。

ほんとだ。泣き虫のあたしが、こんなとき、泣いてないなんて…。

「うん。そのかわり、震えてる」

香奈美に震える手をかざして見せた。

にこっ、って笑う。

「まい、キレー。あんたって、いい笑いするぅ…」

「おだてたって、何にも出ねーよ」

「マジだってばぁ…」
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